「あっはははは!なんてマヌケなやつらだ!!」


池田屋事変後の宴会の最後、総司にあたしという据え膳を用意した土方副長。


彼は、翌日帰営したあたしたちを指さして大笑いした。


それもそのはず……。


遠慮なく総司に揺さぶられてしまったあたしの首筋の傷が、ぱっくり開いてしまったからだ。


寝ている間は大丈夫だったのに、翌朝、島原の大門をくぐったと同時に出血した。


『池田屋から半月ほどしか経っていないのに、ふさがりきるわけがないだろう!

そんな怪我人を抱くやつがあるかっ!!』


お世話になったお医者さんにあたしを抱えて駆け込んだ総司は、そう言ってめちゃくちゃ怒られた。


そして今、局長と副長の目の前で、しおっしおにしおれてしまっている。


「トシ!お前のせいだろう!笑うのはよせ!」


「ああ?俺は『ゆっくり話をしてこい』と言っただけだぜ?」


「恋する娘を前にして、若き情熱がおさえられるわけないだろう!」


「もういいです、局長……恥ずかしいので、やめてください」


傷を縫いなおされ、包帯ぐるぐる巻きにされたあたしは、局長にお願いする。


「そ、そうだな。すまん。
では楓くん、きみには傷が癒えるまで休養を申しつける。
くれぐれも、ムリはしないように」