目が覚めるとそこは何処までも暗く、不気味なほどに静な場所だった。
ここが死者の国と言われれば正直に信じてしまうだろう。とても寂しい空間だった。

暗すぎて、自分が本当に目を開けているのかも分からない。試しに触ってみようか、いや止めておこう。悲惨なことになるのが目に見えている。

取り合えず考える行為が出来るのだな、とその時理解した。なら次は何を考えようか。そうだ、何故こうなったのかを考えよう。

未だに朦朧とする意識の中でゆっくりと口に出しながら、一つ一つ確実に思い出そうとする。

「確か俺は友達と部活から帰ってて、そんでもって....えーと.....。」

だんだん意識もはっきりしてきた。

「家についたら女の人が家の前にいて、声をかけたんだよな....。そっからどうなったんだっけ?」