「んじゃ、また明日。」

「おう、じゃあな。」

そんなやり取りをしているのは、青春真っ盛りのはずの高校二年生こと私、辻 直哉だ。

自分にはこれと言って取り柄というものが無く、漢字に例えるとしたら正に平凡という二文字に尽きるだろう。まぁ、強いて言うならシューティングゲームの全国覇者と言ったところか。

登下校の際に通る道は広く、店も多い。そのせいもあって、休日になれば朝から晩まで、一日中カップルをよく目にする。

それを見る度に「爆発してしまえばいいのに」と心の中でよく思う。

そんなある日、いつも通り部活仲間と別れ、一人で寂しく帰宅しているとき、自分の家の前でうろうろしている一人の女性が目に入った。

ああいうのには余り関わりたくないが、自分の家の前にいるのだ。しょうがない。

「家に何か用ですか?」

「あ、すみません!あの、"辻 直哉"さんに用があるのですが、もしかしてあなたがそうですか?」