実紗からメールをもらって、あたしはすぐに病院を出た。


動くと右耳がズキズキと痛み、熱を持っているのがわかった。


家で消毒くらいしてくればよかったかもしれない。


でも、あたしはこの絆創膏を取るのが怖かった。


そこに狂暴化した蒼太にやられたことがリアルに残っているのだというのが、恐ろしかった。


自転車を走らせて公園へと急ぐ。


出勤時間や登校時間が終わった歩道は人が少なく、あたしはめいっぱい自転車をこいで進めた。


紅葉して散って行く落ち葉を蹴散らし、ゴウゴウと唸る風を聞き、ゆっくりと過ぎる時間を1人だけ何倍もの速さでかけていく。


そして……。


「実紗!!」


公園につくと同時にあたしは自転車を投げ出し、走りだした。


平日の公園は他に誰の姿もなく、秋の寒々しさを感じる。


「陽子……」