4月。それは出会いと別れの季節。
平凡少女の凪沙は自分にも素敵な出会いがあることも知らずきれいに咲く桜をぼんやり眺めながら学校への道を歩いていた。
「あ!凪沙!おはよう。」
突然誰かが後ろから凪沙の肩をポンっと叩いて声をかけた。
「理子!!おはよー!」
振り返った凪沙のまえにいたのは、長い黒髪をゆるやかになびかせた女の子だった。
「凪沙がこんなに早く学校に行くなんてめずらしいね。」
理子がくすくす笑いながら言った。
「数学の追試なの。朝から追試なんて先生たちも非情だよね。」
「また追試ー?がんばってね。」
「もう!理子ってば冷たいんだからー!今度勉強教えてよ!」
理子は頭が良く学校の定期テストでは常に上位にランクインしている。
それに対し凪沙はそこまで頭がいいわけでもなく、とびきりかわいいわけでもない、いわゆる平凡な子だ。
強いて特徴を言うなら、“アニメヲタク”なのだ。この趣味のせいで1日中テレビに没頭する日々が続き、凪沙の成績は思うように伸びないのであった。