「昨夜は本当にすみませんでした。まみちゃんが待ってるのに、新藤さんを遅くまで引き留めてしまって……」


私は知らなかったとは言え、昨夜は一次会で帰ろうとしていた新藤さんを無理に引き留めた自分の過ちをお詫びした。


「そんなに気にしなくていいよ。まみはどうせ早く寝るから、あの子には影響ないしね。昨夜も8時頃には寝たらしいから」

「そうなんですか? それって、麻生さんから聞かれたんですか?」


私はまみちゃんがずっと麻生さんの家にいたのかなと思ってそう聞いてみたのだけど……


「いや、違う。家で子守をしてもらった人だよ」

「ベビーシッターですか?」

「じゃなくて、その……親戚の女性さ」


新藤さんは、気のせいか言いにくそうな感じでそう言った。それがちょっと気になったりもしたけど……


「という事は、私のだらしない姿をその方に見られたんですよね?」

「まあ、そうだね」

「うわあ、恥ずかしすぎる……」


でも、その“親戚の女性”には二度と会う事はないだろうから、まあいいや。

と思い、その事も、その女性の事も、私は大して気に留めなかった。まさかその人が、後に私達に深く関わる事になるなんて、その時の私は知る由もなく……