「そんなに素敵な人なの?」

「素敵かどうかって言えばもちろん彼は素敵だけど……って、何言ってるんだろう、私。それは誤解なんだってば……」

「誤解?」

「そうよ? 私はね、仕事の事で新藤さんから色々とお話を伺ってるだけなの」


私は敢えて、っていうか無理して、毅然とした態度で恭子にそう言った。


「本当に仕事?」


恭子ったら、大きな目で私をジーッと見た。ここで目を逸らしちゃ負けだと思い、私も負けじと恭子をジーッと見返したのだけど……


「半分は、だけどね」


やっぱり負けてしまった。私、嘘ついたりごまかしたりって苦手なのよね……

恭子はフッと笑い、


「新藤さんって、どんな人なの?」


と言った。恭子はシステム部所属だから、新藤さんこと“ミスター日電”の事は全く知らないのだと思う。

私は彼がいかに優秀な広告マンかを、とくとくと恭子に説明した。