“あー、やだやだ。私説明嫌いだかんなあ”


「苑雛さまでも呼びます?」


“んー…”


アカネが考えあぐねてる。

「…苑雛くん今保育園だろ?大丈夫なの?」

「ああ、身代わりでも置いていくるでしょ、あの方のことだし」

…み、身代わり?

悩んでいると、パンパンとスズが手を鳴らした。



「宮下のおじさまーっ」



「はいはいはいはいスズちゅわぁああんっ」


バサッとどこからともなく宮下さんが飛んでくる。

黒い大きな翼が、屋上に着地した。


「えぇええ!?ぐ、宮下さんまさか」


「この人、ずぅっとフェンスに烏のふりして止まってたの」


ストーカー!ストーカーだよ宮下さん!


「スズちゃんが泣いてたのたまたま見かけてね、わしすっごく心配で……でも、この人間(※アカネが乗っ取ってます体)とお取り込み中だったから空気読んだんでちゅよぉー」


「きも…じゃなくて、どうでもいいわボケ…じゃなくて、お願いがあるの」

中々罵倒が止まらないスズだった。


「苑雛さまをつれてくりゃーいいんじゃろ!?」


命令が嬉しくてたまらないらしい宮下さんが、天狗の威厳無視して頬を赤に染める。