優真はゆっくりと腕時計を見る。 「帰るぞ」 「えっ?もう……?」 もう少しいたかったな、なんて。 優真はわたしを立ち上がらせて、手を引いて走り出す。 ゴツゴツしてて日に焼けた『男』って感じの手。 わたしたち、もう高校生になるんだね――……いつの間にかな。 長い長い海沿いの道をひたすらに走る。 潮の香りがツンと鼻を痛くさせた。 あっ……。 思い出した。 小さい頃、わたしがあいつに貝殻の首飾りをあげたこと。