【蘭子side】



「蘭子ちゃん。また……あの男の子来てるよ?」

「うざい……。そろそろ本気でうざったい。ありす逃げるよ」

「あ……来ちゃった……」



5月に入り、みんなクラスに慣れてきた頃。


あたしだけは慣れないし、馴染めない。


コイツが原因で。


別に馴染もうとも思わないからいんだけどさ。



「蘭子ちゃん好き~♪」

「どっか行け」

「愛してる~。俺しか、蘭子ちゃんを幸せに出来ないと思う」

「思い込み激しい。自意識過剰」

「話てくれるようになったね。嬉しい!」

「気持ち悪い」


この流れの会話で喜ぶなんてどうかしてる。


どんだけ、桜井諒哉ってポジティブなの!?


ポジティブどころじゃない……。


ポジティブ通り越して単純にバカ。



「そうだ!連絡先交換しよ!」

「しない。したところで不必要で、ジャマなだけだし」

「いいじゃん♪ほら、ケータイ貸して!」

「はぁ!?ちょっ、返せ!」


あたしのスマホを右手からスルッと取り、勝手に操作。


マジ有り得ないんですけど……。