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チョコレート依存症

第一章 チョコレート


甘い、甘いチョコレート。

それは、
口のなかに放り込めばゆっくりと
じんわりと蕩けていき、その人に幸福をもたらす食べ物。


一度ハマってしまえば、もう後には戻れない。


その幸福感を味わった者は、次第にそれを手放せなくなりどんどん深みに落ちていく………。


まるでそう、魔法にでもかかったかのように。


そんな現象を人はこう呼ぶ、

《チョコレート依存症》



*** *** *** ***




私、伊崎 千夜(いざき ちよ)は今日もチョコレートを口へと運んでいた。




「あっ、この新作の生チョコ美味しいかもー!!!」


もう、

この口にいれた瞬間にほろって崩れていくように蕩けていく感じがたまんないよねっ!!!


なんて、私が喜びのあまりに力説していても誰一人として友達は共感してくれない。

「また始まったよ。」とか、「よくチョコばっかりで飽きないね」だとかそんなことを口々に言っている。



いいもん。

私がチョコレートの素晴らしさを分かっていれば!!!



まぁ、皆がしてるような恋とかに興味が無いでも無いんだけどさ。

そりゃぁ、出来るものなら皆に混じって恋バナもしてみたい。


けど…………


どうしても他人にココロを開くなんて、出来そうもない。


だから私は結局チョコレートに逃げてしまうのだ。



ほんの小さな頃からずっと。



その点を言えば、私はかなり重度の《チョコレート依存症》なのかもしれない。

でも、

今さら、
他人に愛だの恋だのを求められる訳もなく、チョコレートにそれと同等であろうほどの幸福感を求めるのだろう。


はぁ、本当ダメダメだなワタシ。



「何て顔してるのよ、千夜(ちよ)。」



呆れた顔で隣にいた
私の親友ーー松澤 凉(まつざわ りょう)
こと、凉ちゃんは私の頬を摘まみながら問いかけてくる。


「いっ、いはいでふ…やめへふだはい。」


頬を摘ままれているため、

まともな言葉にはならなかったがきっと伝わるだろう事を信じ、凉ちゃんを見つめると、ふはっと吹き出してからようやく離してくれた。



「本当あんたって、間抜けな顔してるよね。飽きないよ………くくっ」

「もー、失礼しちゃうよね。人の顔見て笑うなんてさー!!!」



ごめん。
なんて軽く謝りながら顔の前でぱんっと手を合わせていたから、まぁ許すことにした。


私と凉ちゃんの仲だしね。







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