いつもの特等席から見る吉永君は少し顔色が悪い。

バスに乗り込んだ時からつらそうにせきをし、時折、額を手のひらで覆ったりしている。

つらい時こそ座ったほうがいいのに。

それでもやっぱり吉永君はいつものように足の悪いおばあさんのために席を確保し、その間に他の乗客に空席を取られてしまった。

不器用だけど、きっと、そういう吉永君だからこそ好きになった。