「俺はいつか、絶対にテレビで活躍するスーツアクターになる。だから・・・」



短大を卒業したこの春、私には何も残っていなかった。夢を叶えるために必死になった2年間は一瞬にして粉々。


付き合っていた人にも二股を掛けられて捨てられた。周りの友達は夢を叶えて幸せそうで一人不幸な私には居場所なんてない。


就職先も未定で小さな1Kのアパートで買いだめしたお菓子をポリポリと食べながらテレビの前に一日中いる。外に出るのが億劫で気がつくと引きこもり。



髪の毛はボサボサ。眼鏡をかけてダラーンと伸びきった洋服を着てる。こんな姿、夢を応援してくれたお母さんが見たらガッカリするだろうな。



それでも立ち止まったまま動けない。携帯が時々鳴るけれどメルマガやくだらない迷惑メール。それを見てまたガッカリする。私の周りなんて誰もいないんだなって。


今日もまた、適当に起きてテレビのスイッチを点けて無駄な一日を送るはずだった。



「青池ファミリーパーク、来春閉園」