「俺はお前を護りたいから」
優しいけど、優しさが痛いよ。
ごめん、重荷を背負わせて。
ごめん、消えてあげられなくて。
言葉に出せるはずなのに、綾の目がそれを言うなとせき止める。
「…ありがとう」
ただ、御礼を言うしかなかった。

すぐに着替えを済ませ、行く準備をする。
「棗、車でいい?」
「ん、お願い」
綾の家からは少し、私の学校は遠いから送ってもらうことにした。