私は神である前に一人の人間として生きて居る。

そんなある日、二人の女の子達がやって来た。

二人の姿は、誰から見てもぼろぼろだった。

長き階段を上がり息を乱して本宮へと歩いて来た。

それが二人との出逢い

背の高い女の子が小さき子をおんぶしている。

那岐「紫乃、大丈夫?」

紫乃「大丈夫だよ、お姉ちゃんが居るもん」

二人は段差のある所に座った。

那岐「そっか、……これからどうしようか……彼奴等の所なんて帰りたく無い」

紫乃「でも、どうやって生きて行くの?」

私は何故かほっとけなくなった。

『なら、此処に住むか?』

二人は肩をビクッと震わせ私の方を見た

那岐「貴方は誰?」

小さき子は背の高い女の子にしがみついた。

私はそれを見て思った事を言った。

『行く場所が無いのなら此処に居れば良い。どうせ此処は、忘れ去られた場所だ、人は限られた者しか来る事ができない。』

二人は顔を会わせ二人は言った。

「「お願いします!」」

私はそれを聞いて何故か懐かしさを覚えた。

『二人、名を教えてくれるか?』

背の高い女の子は立ち上がり礼に添って言った。

那岐「私は片桐 那岐と申します、この子は紫乃、二人揃ってお世話になります。」

私は二人を見、本宮の中へ向き直った。

『では、那岐、紫乃今日から我の家族だ。歓迎するぞ』

二人は顔を会わせ来て初めての笑顔を私に見せた。

細やかな小さき微笑み、私も釣られ微笑んだ。

那岐と紫乃は、我の後を付いてきた。

そして私の着流しの裾を引っ張り言った。

紫乃「名前、なんと呼べば良いの?」

私は二人に振り向き微笑みながら言った。

『我の名は長いんだ、だから緋桜とでも、何でもよい』

那岐と紫乃は顔を見合せ、また私の方を見た。

その顔は困惑だった。

私はクスクスと笑い二人に言った。

『本当に長いんだ、気似せずとも良い。っと言っても気になるか、我は暁の緋桜の大陽女神の命と言う、ほら、長いだろう?』

二人は同時に頷いた。

私はそれを見てまた笑った。

この時まだ紫乃は小学生で、那岐は中学生だった。

こうして二人は、共に住んでいる。

もちろん私は二人を見護りながら。