*****



 気が付くと、見慣れた家の中だった。
 そして目の前には遠藤君のドアップ。

 うひゃあと飛び起きそうになる。けど体が重い。

「気が付きました? とりあえず、楽な服装に着替えます?」

 とりあえず、ぼうっとする頭を整理する。
 えっと、玄関先で倒れて……今横になっているのは、家のソファーの上。
 てことは、

「……運んでくれたんだ、ありがと…重かったよね」

「全然。軽くてびっくりしました、ちゃんと食べてます?」

 遠藤君はそう言って、上から覗き込む顔を少し近づけた。

 その表情にドキリとする。

 遠藤君の視線は首元に、胸元に、それから這うようにして腰の辺りまで下りて、ソファーに投げ出している足に。 透琉くんとのデート用に、女の子らしさをアピールした格好。

 今更ながら、この状況の危うさに気付く。
 げげ。今の自分、すごい無防備じゃない?

 いま何かあってもおかしくないというか。
 下手すれば誘ってるようにさえ見えるかも……

「え、遠藤君……」

 さっきまでとは打って変わり、思い詰めたような少し怖い表情で私をじっと見つめる遠藤くんを、恐る恐る呼んだ。

 遠藤君は深い息を吐くと、思いがけない言葉を口にした。


「さっき、小西さんの彼から電話ありました」

――――え? 透琉くんから?

「勝手に悪いと思いましたけど、電話出ました。小西さんがこんな状態だって、伝えようと思って」

 ええっ!?