久しぶりに透琉くんとまったりした一夜を過ごせた、こどもの日。
 久しぶりにライブの舞台を踏んで、水を得た魚みたいにイキイキしてた透琉くんも観れて、幸せだった。

 連休が終わり、仕事が始まることにもさほど苦を感じなかった。
 透琉くんがあんまり楽しそうに仕事をしていたもんだから、働くって楽しいことなんだと刷り込まれたのかもしれない。

 とにかく妙に清々しい気持ちで目が覚めて、いつもより少し早めに出社して、鼻歌混じりに朝の社内掃除をしていたら、後輩の遠藤君の耳に留まったらしい。


「小西さん、連休明けなのにご機嫌ですね。何かいいことありました?」

 意外な質問に一瞬えっと思った。

 他の人が言うなら、ちっとも不自然ではない声かけだけれども、新入社員の遠藤君はとにかく他人のプライベートに一切関心を示さない。
 自分の話はするけれど、人の話は聞かない。潔いほどに新人類な遠藤くんに、苦手意識を持っている私も歳は一つしか変わらないけれど。


「あっ、うん。久しぶりに、彼氏に会えたから」

 躊躇しつつも正直に答えると、遠藤君は笑みを浮かべた。

「いいですね。会えるだけで、嬉しいって思えるの。遠恋ですか?」

「えんれん?」

「遠距離恋愛」

「あっ、ううん。じゃないけど、仕事の休みがなかなか合わなくて。遠藤君はタイ旅行、いい感じだったね。フェイスブック見たよ」

「あっ、見てくれました? お土産、休憩室に置いてあるんで、良かったらどうぞ」

「ありがとう」