あたし、熱炉夏はいたって普通の高校生だ。
友達とふざけて、先生に叱られて、少しだけ勉強する。そんなどこにでもいるような人間。

そんな平凡なあたしが、今、一生のうちに誰も経験しないであろう状況に陥っている。

あたしが目覚めた時、見えたのは真っ白な天井だった。起きたばかりの余韻で、怠い身体を起こすのが億劫で、首だけを動かして周囲を見渡す。

壁は天井と同じ白、向こうに白いドアも見える。少し目線をずらして今、寝ているベッドを見ると、それも白だった。

何もかもが白い空間で、少し気味が悪いのと同時に、あたしはあることに気付く。

それはあたしが今、寝ているパイプベッドと同じベッドが規則的に並んでいるという事。ということは、あたし以外に人がいるという事だろうか。

あたしは身体の怠さも忘れて、跳ねるように飛び起きた。ベッド下に置かれていた靴を履き、真っ白なドアを開けた。