私はあの人の後に続いて電車に乗り込む。

彼と反対側のドアの脇に立つ。

ここからだと彼の顔がよく見える。

私は電車で座らない。

私のような若い人間が座るのは、なんだか申し訳ないし、何より電車で立つのが好きなのだ。

電車がガタンゴトンと揺れるのを足から全身で感じることができる。

そして車内の様子もよく観ることが出来る。

こっくりをするおばさん。

新聞を読んでいるおじさん。

メイクの確認をするOLさん。

ケータイをいじる女子高生。

そして、ドアの脇の手すりに寄りかかって、立ちながら本を読んでいるあの人の姿。