あぁ、また紙がつまった。

うんざりしながらコピー機の前面パネルをかぱり、はずす。

最近よく壊れる。

これは、そろそろサービスを呼ばなくてはいけないかも。

「うー‥。紙、全部取れたよねぇ。」

あっちゃこっちゃをかぱかぱ開き、つまった紙をとっていく。

‥いったのだが、コピー機はまだまだご機嫌斜めだ。

「なんでかなぁ‥」

前面パネルを閉じる、開ける、を繰り返し、ついでに叩いたり蹴ったりしてみたけれど、やっぱりコピー機はうんともすんとも言わない。

「んー‥。サービス、呼ぶかなぁ」

「どうした?」

「のわっ」

突然の声にちょっとびっくりする。

振り向くと、そこには熊がいた。

「っくま!」

「は?くま?」

眉間にしわを寄せた熊が返事をする。

「あー、いや、困っててね。ははっ」

あぁ、やばいやばい。

確かにこいつは見かけは熊だけど、一応、霊長類ヒト科ヒト亜科ヒト属ホモサピエンスだ。

身長は180cmを軽く超えていて、横幅も結構ある。っていっても、脂肪ではない、はず。

こいつは、つい最近まで我社の柔道部で活躍していたのだ。

オリンピック候補になったこともある。

だが、結局“候補”で終わった。

スポーツの世界はきびしいね。