朝。

起きるといつもの少女の顔。



「ねえ陽。

おはよう愛してる」



そいつはいつもこんな調子だ。



暇さえあれば、「愛してる」

隙さえあれば、「大好きだよ」

目と目があえば、「幸せ」




「おはよ」




朝っぱらからの甘々を少し流したくて、挨拶で流した。


すると


「ねえ?愛してる?」


今度は悲しそうに繰り返した。


こいつはいつも不安なんだ。


俺が離れていかないか。


それは異常なほど気にする。


まあ、無理もないけど。



「ああ、愛してるよ」



安っぽいうわべだけの言葉をかけてやる。


「陽、大好き!」


すると、それだけで布団の上で抱きつかれた。


そのせいで押し倒されそうになる。



俺の彼女兼妹兼幼馴染み兼同級生の菅原千晶は結構可愛い。


外見は、ね。



白い肌はいつもすべすべ。

長くて暗いロングヘアーからは、シャンプーのいい香りがする。

少しつり目がちな目は、いつもはとても幼稚なのに、真顔になるととても妖しくなる。