俺と京子が付き合い始めたのは20歳の冬。

それまでは喧嘩ばっかしていた俺達だけど、俺から告白すると京子は嬉しそうに微笑み、そして極自然と唇を合わせた。

触れるだけのキス。

悪友から恋人に変わった瞬間、俺は漠然と京子とは一生一緒にいるだろう、そう思った。

夢だったカフェを出店して、軌道に乗ったらプロポーズしよう。

そう心に決めてから二年…




別れの時は、突然訪れた。

12月24日、クリスマス・イブ。

当時22歳の俺達は、別々に就職し、なかなか休みが合わなくて、数週間会えないこともザラにあった。
もともとさっぱりしている性格なだけあって、会えなくても文句を言わない京子に甘えてる部分も少なからずあったと思う。


12月はどこの料理店も繁忙期で、あの日は約一ヶ月振りのデートだった。

お互い閉店まで仕事をした後、一人暮らしをする京子の家で、深夜にも関わらずクリスマスケーキと料理を二人で作った。

その日のメニューは、特製チョコレートケーキに豚の角煮、グラタン、ポテトにナゲット…

それはもう二人では食べきれない程のたくさんの料理の数々で、小さいテーブルに所狭しと並んでいた。