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高校一年、春。

あの日は桜がゆらゆらと舞い、太陽の日差しが何とも心地いい穏やかな日だった。


『うわぁ!あの人、凄くうまいね!』

『あの人って生徒会長でしょ?かっこいいよね』

『素敵ぃ〜‼︎』


見学に来ていた他の一年生は、先輩に憧れの眼差しを向けていた。


『ねぇ、恵里奈もそう思わない?』

『ーーへ?あ、うん…凄く素敵だと思う』


素敵だと思う。
だけど、私の想いと皆の想いは違う。

私のは憧れじゃない。

胸がドキドキと張り裂けそうで、先輩だけが輝いて見える。
初めて抱いた感情だった。


日に日に先輩への想いは強くなっていった。

だけど、大所帯の硬式テニス部。
三年と一年。

なかなか話す機会がなく、見ているだけの日々。


そんなある日。


『危ないっ‼︎』

え……?


コートの外でボール拾いをしていると、突然先輩の大きな声が聞こえた。

それとほぼ同時に、後頭部に感じた強い衝撃。