路地を抜け、止まることなくメインストリートを走る。

駅前広場に着くと足を止め、初めて後ろを振り返って、並木さんが追ってきていないことにホッと息を吐いた。


時刻は夜8時前。

眠らない街というだけあって、飲み屋が多く集まるメインストリートの一角や駅前広場はサラリーマンやOL、学生で溢れ返っている。


その中に、高校の制服姿の私は浮いていて、やけに視線が痛い。

並木さんの言ってた通り。

ただでさえ制服姿で目立つのに、加えてメソメソ涙を流していたらそりゃ視線を集めるに決まってる。


これは早く電車に乗った方が良さそうだ…

足早に改札口に向かっていると、


ーーーどんっ!

「痛っ…」


歩きながら、前を見ずにふざけ合っている大学生グループのうち、一人にどんっと思いっきりぶつかってしまった。

ぶつかった鼻を抑えながら、「すみません…」と大学生を見た途端、サァーッと血の気が引いた。