(雪華)

…やっぱりこうなるのか…ったく、血生臭いなぁ。
沙代が腰に下げた刀に手を掛ける。
結界でも貼ったのか、沖田の気配がない。
これなら思いっきり暴れられるな…

「覚悟っ!」

そう言うと、沙代は素早く刀を抜き迫ってきた。私も刀を抜き攻撃を防ぐ。
聞きたいことが山ほどあるから、殺さずに屯所に連れて行きたいんだよな…
って言っても、多少怪我させるしかないな…気が引ける。

そんなことを考えながら次々と沙代から繰り出される攻撃を避けたり、受け流したりしていた。
私からは一度も手を出していない。
何とか隙を見つけたいところだが、ないんだよなぁ…

「あっ…っつー…」

忘れてた、余裕かましてたけど足捻ってたんだ!
しょうがない…これ以上は無理だな。帰った後バレる。

そろそろ反撃しないと…なっ!
そう思い、刀を振る。当たったのは沙代の右腕。傷口が思っていたより深かったらしく、刀を落とし、膝を付く沙代。
彼女の首元に剣先を向け、勝負がついた。

「っ…ど、して…」

傷口を抑えながら、沙代が訪ねる。

「どうして…貴女は、私達の居場所を奪い、力を利用しようとしていた幕府の人間に肩入れするの…?」

「何故、か…」

そんなの…

「こいつらを、守りたい。それに、大切なやつと一緒に居たい。そばに居て、笑い合いたい。それだけだ。
沙代、お前にもいるだろ?そう思える相手が。違うか?」

瞬間、結界が解け。沙代は涙を流して気を失った。
私は沙代を受け止め、痛々しい傷口を軽く手当てした。
帰った後も、沖田は何も聞かないで居てくれた。