ふうっと、小さく息を吐くと、少女はそれまでの愛らしい笑顔をスッと消した。

そうして、ベンチから立ち上がり、両手をグッと上げて、大きく伸びをしてから、おもむろに、ベンチに座る青年に向き直った。



「終わったわよ」



少女は、綺麗な顔ににっこり微笑を浮かべた。

眼の前にいるのは、つい先ほどまでは別人だった、依頼主の青年。

うたた寝から覚めたばかりのように、いったい自分はどこにいるのだろう……という顔をしている。

そんな青年の前に、少女はすっと手を差し出した。



「成功報酬」


「え?」


「終わったから、ね」



少女は満面の笑顔で、再度、そう告げた。