翌日――。


「おはようございます。青山先輩、一応先輩から引き継いだ仕事確認しておきました」


「あ、高梨さん、おはよう。ごめんね、突然仕事回しちゃって……」


「いいんですよ先輩! 御堂さん専属でマネージメントできるなんてすごいじゃないですか! 私にできることなら、どんどん仕事回してください」


 高梨美香は、奏よりひとつ下の後輩でまだ学生気分の抜けないところはあるが、任せた仕事はきっちりこなす責任感のあるかわいい後輩の一人だった。


「うん、ありがとう」


 常に両手いっぱいに仕事を抱えているところに御堂からの専属任命を受け、奏はキャパオーバーになっていた。悩んだ挙句、奏はいくつかの仕事の後任に美香を選んだのだ。


「青山先輩が受け持ってた片山さんの結婚式の余興の件、一応クラシックで希望が出てたので今、演奏者を選任中です」


 奏が送った資料を見ながら美香がにっこりと微笑んだ。


「ほんと、仕事が早くて助かる」


 奏は、心強い後輩にほっとした表情で美香の笑顔に応えた。