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壬生狼の花

第一章
変わらぬ愛











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「土方さん、芹沢さん寝ちゃったみたいですよ」




角屋での宴会を終え、壬生浪士組は屯所に戻ってきた。 幹部を除いたほとんどの者が寝てしまい、静かだ。




「寝ててもらった方が都合がいい、あの人相手じゃ骨が折れる」




そんな中、土方、沖田、斎藤、藤堂に加えて数人の幹部が動き出した。
暗殺を、今日企てて今日決行するなど無謀な話だがここまでは順調に事が進んでいた。




幹部たちは音を立てないよう芹沢が就寝している部屋の前に移動する。




「斎藤、原田はここで待機
総司と平助は俺と行くぞ」




指示を仰げば頷きが返ってくる。




すう、と息を吸って土方は思い切り障子を蹴破った。




スパン!!




「なっ」




しかし障子を蹴破った直後、驚きの声を上げたのは土方の方だった。

それもそのはず、芹沢は待っていたかのように抜刀しており眼光も鋭い。




「総司!!寝てるって報告は何だったんだ!!」




「やだなぁ、土方さん
僕そんなこと言いましたっけ」




「言ったじゃねぇかダァホ!!!!」




「ちょっ、二人共!!」




「余裕だな、小僧」




つい、いつものようにじゃれあってしまい反応が遅れる。芹沢は鋭く刀を横薙ぎに払い、土方、沖田、藤堂を攻めた。




沖田の裾が切れる。




「その殺気では....仲良く話し合いに来たわけではなさそうだな」




芹沢さんの口が弧を描く。
もう暗殺だと悟っているのだろう、それでも尚微笑む余裕があるらしい。

土方の額から汗が流れた。




「それに、今日の宴は随分小僧らしくなく豪勢なものだった」




「....そうか?俺だってたまには隊士を労わろうと思うこともあるが」




腹の探り合い、実に土方の嫌いなものだ。
それに相手は芹沢という最悪な条件。




――クソッ、どうする。
名目は暗殺だ....もし大きな声でも出されたら....正面突破しかねぇのか?




「........」




「........」




しばしの睨み合いの末、先に口を開いたのは芹沢の方だった。




「会津か?それとも朝廷か?」




「................何のことだ」




「ここまできて無様に大声など出さん、わしを殺せと命が出たのだろう」




「........ああ、あんたにはここで死んでもらう」




「フン....わしが居なくなり、喜ぶ者は五万といる....か


いいだろう、殺れるものなら殺ってみろ」




やはりこの人には回りくどいのは通用しない、土方は改めて実感し抜刀した。
続いて藤堂、沖田も抜刀し、芹沢の喉を狙う。




狭い部屋で、殺気が渦巻いた。




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「ハァ、ハァ」



降り続く雨の中、ようやく私は屯所前に辿りついた。体温が下がっているのか思うように体が動かない。




肩で息をしながら八木邸に入れば雨の音に混じって金属音が聞こえてきた。




ギィン!!




――これは....。




「刀の....交わる音?」




こんな夜中に、しかも大雨の中稽古などするはずもない。道場は離れた場所にあるためその可能性もない。




不思議に思った私は恐る恐る歩みを進めた。




キィン!




「〜~!!!〜!!」




段々と大きくなる音と、聞こえる怒声。
私の背は自然と伸びていた。




そこであることに気付き、ふと足を止める。




「こっちって....芹沢さんの部屋....よね」





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