ケータイ小説 野いちご

【企画】キミへの合図はサクラの音色

プロローグ






ピーピ―――



「ひーくんすごい!なんでそんなに上手く音出せるの?」



「はーちゃんも練習すればできるようになるよ」




ビービ―――



「うぅ……変な音しか出ないよ……」




昔、幼稚園の頃。
私は入園してすぐに、1人の男の子と友達になった。



名前は“ひーくん”。
今じゃ苗字も名前もはっきり覚えてないけど、“ひーくん”って呼んでたってことは覚えてる。
少し大人しくて優しいメガネをかけた男の子だった。
ひーくんは私を“はーちゃん”と呼んでいた。




そんなひーくんは、桜の花びらを唇に当て、優しく吹くことで音を出す遊びを教えてくれた。




2人でその遊びを“桜笛”(さくらぶえ)って呼んでた。
幼稚園の近くにあった、桜並木のところでよく遊んでたんだ。




「ひーくん、桜笛もう出来ないね……」




でも、桜は本当に一時期だけのもので、桜笛は出来なくなった。




「でも、また来年があるよ。また来年一緒にしようね」




「うん!」




そう、約束したんだ。

< 1/ 29 >