思い返せば、あれは中三の秋だった。俺は、一年間ずっと好きだったクラスの田中愛ちゃんを、体育館倉庫に呼び出した。


「何、話って?」


「いや…」


辺りをキョロキョロする。同級生に聞かれるのは、恥ずかしい。


「前から、好きだった。付き合ってください」


思い切って、俺はそう言った。


初めての、告白。


心臓が、バクバクする。


音楽の歌のテストの、千倍はドキドキする。


もう、帰りたいよー…


沈黙が、走る。




……長い。まだか、返事は。時間、止まってるんじゃないの?


耐えれない。早く、返事をください。


そのとき、愛ちゃんはゆっくりと口を開いた。


「ゴメン…」


ゲッ…


断られた。


ショック…


「あ、ダメ?そっか、そっか。いや、別にいいけど。俺、適当に彼女欲しかっただけだし」


強がって、とっさにそんな事を言ってしまった。


この頃は、フラれる事がダサいと思っていた。


「ひどい…」


え?


なんで、泣くの?


フラれたのは、僕なんですが……


愛ちゃんは、泣きながら体育館倉庫を後にした。