──11年前。

この学校の学園祭に来ていた私たちは、体育館でファッションショーを見たんだ。

当時の学生さんが色々な衣装を身にまとい、ステージの上をくるくると回る。


キラキラ輝いて、とっても綺麗で。

中でも1番輝いていたのは、ウエディングドレスを着たお姉さんだった。


……白を基調とした花束を持ったお姉さんが、私にニコッと笑いかけて。

その直後にクルッと後ろを向いたかと思ったら、持っていた花束を躊躇うことなくポーンと投げた。


何度も繰り返した まばたきの間に、花束はどんどん近くなってきて。

手を伸ばしたその時──指にお花が触れて、抱き締めるように引っ込めたら、そこに花束はあった。


周りの歓声とか、拍手とか、意味はよくわからなかったけれど、なんだかとっても嬉しくて、胸がキュンとなって、あったかい気持ちになったんだ。


ずっと忘れてしまっていたけれど、私は、ブーケを受け取っていたんだ。



「……こんなに素敵で綺麗なのに、私、すっかり忘れてた……」

「俺も写真見るまでは忘れてた。 でも、思い出したんだよ」

「……うん」


「誰のお嫁さんになるって言ったか、思い出した?」