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「手、出さないって言ったくせに。」








大きなひとつのベッドに若い男女が、



端と端で、背中を向けて寝ている。







それを望んだのは女・橘若菜。





若菜は今一緒に寝ている男・世良修吾に初めて逢った時に、
彼から言われた言葉を思いだして尋ねた。







手を出す。
の意味は、いくら恋愛経験の浅い若菜(本人自覚ナシ)でも分かる。







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手を出すって、まぁキスされたり…ってコトだよね。(暴力の意味もあるけど)




そう言われた時に顔近付けたし。









「あの時は、本当に手ぇ出さないつもりだったよ。」






いつもの強気で余裕たっぷりの口調とは少し違う、落ち着いた感じで彼は話す。






そんな口調になってるのは、
さっき彼に襲われそうになって怖がった私のせい。





…気をつかってくれている。





私は彼の奥にある優しさを感じることが出来た。