春の心地良さなんて、とうの昔に過ぎた。

梅雨明けのとある晴れの日。



蝉が猛り狂ったように

自分の命をうち鳴らす。



誰にも振り向いてもらえは、しないのに。



[儚いね。本当に。]



公立第二星蘭学院

海を一望できる高い山の頂上に建てられた
小さな高校。名前負けしてるよね。



そこに今年の春から通っている私。

白峰朝香〔しらみね あさか〕15歳。



ちょっと運動が苦手な

ごく普通の高校生です。



今は英語の授業の真っ最中だけど

もうその英文聞きすぎて暗記しちゃってるから少し暇。


てことで今現在

私の意識は別の所にむいていた。



[ここは、とてもいいところだけど

それだけなのよね…。]



こんなことを考えるなんて

昔じゃ考えられないな…。


変わったって、事なのかな…



「…~ Therefore English is the thing which is essential in our everyday life.」



昔の私なら…きっと…



「It is a question here. What does Eric tell English to be necessary for?

Well…. Asaka.」


『っ! …あー。えっと…He says that it is necessary to take the communication.』


「It is a correct answer. The next…」



[危なかった…]



心の中でホッと息をつき、流石にマズイかと思い、その後は授業に集中した。