「ありがとうございましたー…」

ウィーン、と音がして自動ドアが閉まると、店内にはあたし以外人がいなくなって静まり返る。


何をしているかと言うと、簡単に言えばただのバイトなんだけど。

高校生は規定で10時までしかバイト出来ないから、あたしはあと15分もすれば帰れる。


「……今日は来ないか…」


高校2年の春休み。

彼氏がいないあたしにはこんな長い休みがあっても、とくに意味はない。

強いて言うなら、ゴロゴロできていいけど。……うそ、毎日バイトでゴロゴロする暇もない。

バイトして、寝て、起きて、またバイトして……の繰り返し。