side/理久

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五年前。

「…ちょっと…離してくださいっ」

「何だよー。先に話しかけてきたのは君の方じゃん」

「ただ、道を聞いただけなんです…っ」

「…だから俺達、道案内しようと思ってるわけなんだけどなー」

駅前の広場で男子二人が、一人の女子に絡んでいた。

面倒な事に巻き込まれたくないからか、周りの皆は完全スルー。

俺も一瞬、そうしようと考えていたのだが…
気が付けば、足を進ませていた。