赤子の世話をするのは必然的に女性の科学者になっていた。

 もちろん、他の科学者も手伝ってくれてはいる。

 独身である彼女にとって、この子の手間がどれほどなのか解らない。

 母乳で育てる事は適わないため、免疫力を考慮された人工ミルクを与えていた。

 育児書を片手に日々、奮闘していたが泣く事はおろか、ぐずる事もほとんどない。

 夜泣きすら聞いた事が無い。

 研究に人生を費やしてきた彼女にとっては、遅い子供という事になる。

 血のつながりはまるで無いものの、表情のあまり見られない赤子に自然と笑みを浮かべていた。