〜桜井麻美said〜




やっとお母さんが退院する日になった。
どれくらい待ったことか、お母さんを迎えに行きたいのはやまやま。
だけど今日は学校がある。
私は変なところへ向かいそうになる足をどうにか意思力を振り絞って本来進むべき方向へただした。




「そうだ、髪飾り・・・・・。
これに毎日祈ってたから海原君が心を開いてくれたのかな・・・・・?」




学校へ向かいながらふと思い出し、つぶやいてみる。
もちろん、りぼんが私の背中を押してくれたこともあるんだろうけど・・・・・。




「そういえば、いつからあったんだっけ、あれ」




髪飾りは、昔からあった気がするなぁ。
うーん・・・・・。
お母さんに買ってもらったっていう記憶はないし、まさか拾ったとかは・・・・・ないと信じたいなぁ。





ぽけ〜っとのんびり歩く。
今日は遅刻の心配はない。
お母さんが退院する日だと思ったら結構早くに起きちゃったから。
あ、考え事しながら歩くと時が経つのが感じられない。
もう学校についてしまった。




この時間帯はまだ誰も来ていないらしく、シーンとしていてとても静かだ。





・・・・・怖いよ、まさか誰か出てきたりしないよね?




そーっとそーっと階段を上るけど、やっぱり階段というものは音が響くもので。
自分の上履きがこすれてキュッキュッという音がなって反響するたびに腕にとりはだがたつ。




・・・・・早くに来なければよかった。