ダメだ。

ぼーっとする。



授業に全く集中出来ない。


落ち着かない。


「菜月ー?大丈夫?今日ぼーっとしてるけど?」

「あ、詩穂……。」

「なんかあった?」

先生が隣に住んでる。
とか、
昨日一緒にご飯食べた。
とか……。

言っちゃいたい。

でも、

この学校。
一人暮らしはNGだから。

秘密。


「いや、あの……。杉浦先生が……」

「何?杉浦王子?」

「う、うん。」

「あーー……気になっちゃってる感じ?」

「え゛?」

なんでわかるの?

「図星か。」

「う、うん。」

「あれでしょ、今までは関わりなかったけど。担任だし、委員長に選ばれたし、
化学係だしー!それに!イケメンでタイプかもー!
とか思ったんでしょ?」

ニヤニヤしながら詩穂が尋ねてくる。

図星すぎて何も言えない。

「あー、良かった。」

「へ?」

「やっと菜月にも好きな人ができた!
あんたモテるのに今まで彼氏ゼロだったから心配だったんだよ?」

詩穂ぉ……。

「まぁ、先生はかっこイイよね、王子だし。
ま、丁度いいんじゃない?菜月は去年のプリンセスなんだし。」

''プリンセス''

「あぁ、そんなのもあったね。」

「何言ってんのよ!あれすごいイベントなのよ?
校内の全ての人間の中で一番の美男美女を決めるのよ?先生たちまで入ってるのよ?
高1初のプリンセスの称号もらったの菜月でしょ?
んでもって、プリンスが杉浦先生!」

「そーだったね……。」

まぁ、その頃は好きになってなかったし……。

「準プリンセスとかも決めるけど……最後に2人で並んでたじゃない!写真も撮られてたし!」

「……。そーだったっけ。」

「本当に興味なかったのね。」

「うん。だって……別にね。」

「やっぱどっか抜けてるわ笑
で?先生に片想いするんでしょ?」