その日、泥だらけになって寮へ戻ったあたしはすぐにシャワーを浴びさせてもらった。


入浴する時間が早かったためか、いつもの視線を感じることはなかった。


シャワーから出るといろはちゃんが廊下で待っていて、不安そうな表情を浮かべていた。


「ツムギちゃん、今日は大丈夫だった?」


「うん、今日はなにもなかったよ。心配してくれていたの?」


「そっか、よかった。だってツムギちゃんご飯も食べられなくなっちゃうんだもん、心配するよ」


「ありがとう、いろはちゃん」


今日は本当に何もなくてよかった。


そう思っていたけれど……。