この日、伊達先生は女子寮と男子寮の庭の掃除をしていた。


他に雑用をこなしてくれる人はいるのだけれど、伊達先生は寮内の仕事のほとんどを自分から率先して手伝っていた。


そのくらい、この寮に思入れがあるんだと思う。


「竜季、いた!」


あたしは大きなゴミ袋と軍手をはめ、男子寮の四隅を掃除している伊達先生の姿を見つけた。


「行くぞ、ツムギ」


「うん」


コクンと頷き、あたしと竜季は先生に近づいて行く。


「伊達先生、ちょっといいですか?」


竜輝がそう声をかけると、伊達先生は作業の手を止めて振り返った。


しゃがんで草をとったりゴミを拾ったりしていたため、その顔は少し汚れていた。