朝、起きて朝ご飯を食べる。
そして、歯を磨き、二階に戻ってタンスを引く嫌な音を聞き、着替える。

あの残酷なゲームを終えた後というのに、変わらない当たり前の日常。

あたしは、もうクタクタだった。

刺激の強い毎日を望んでいたけれど、これでは強すぎる。

もう、あんなゲームは嫌だ。

…これは、誰もが望んでいる事だろう。


だが、これは、どんなに望んでも叶わない願い。

今日から海外へ行く予定だが、あたしにとってはもうどうでもいい事だった。

「道香ー?準備できた?」

階下から、母の声が聞こえる。

「うん、できたよ」

あたしも声を出すけれど…。
正直辛い。