ここはどこ?

目を開いても、暗闇ばかりが視界にうつる。


あたし、死んじゃった?


体が、ふわふわしてる。


なんだか、頭が重い……。





「…ん。道香ちゃ…。道香ちゃん…。」



暗闇の中で、あたしを呼ぶ声がする。

…この声……____
何処かで聞いたような。
柔らかい、風鈴のような透き通った声。


「…水川……、穂乃……さん。」


そこにいたのは…。

以前、あたしに迫って来た時とは違う、優しい雰囲気の水川穂乃だった。

…呼び捨てするのも、失礼か。

穂乃さん…で、いいのかな。


長い髪の毛。
優しい目。
白い肌。


“美人”を絵に描いた様な風貌だった。


…アーテの……____


婚約者だ。