「おう、元気かー?」


宗佑の病室に顔を出すと、
宗佑はあからさまに嫌な顔をしてみせた。


机の上には無造作に紙が散らばっている。


窓辺のところに目をやると、
見慣れない綺麗な花が飾ってあった。


「それ、どーした?」


「え?」


宗佑が花に目をやると、
少し恥ずかしそうに頭をかいて言った。


「もらったんだよ。
 知らない白血病の姉ちゃんに。これあげるってさ」


「姉ちゃん?」


その花は、なんていうのか。


見たことのあるような、ないような、白い花。


「ふうん。よかったな」


「そういえば、昨日のあれ……」


「あれ?」


「忘れたのかよ。最悪だな……」


昨日の……。


ああ、クイズのことか!


確か今日までって適当に言った気がする……。


なんだよこいつ、興味津々なんじゃねぇかよ!


「わかってるよ。クイズだろ。ちゃんと出来たのか?」


「あのさ、俺のこと馬鹿にしてる?研修医のくせに」


「いいや、別に。お前こそ俺のこと馬鹿にしてんだろ。
 研修医研修医ってうるせえなぁ」


互いに互いを睨みつけ、そうして数分黙り込む。


わかってるよ。


こんなガキ、相手にするほうが馬鹿だ。


ここは少し冷静に、冷静に……。




「答え合わせして――」




「答えは〝S“だ」




言い終える前に、宗佑はびしっとそう言った。


「……えっ」


「なんだよ、違うのかよ」


「いや、正解だ……」


唖然としてそう呟くと、
宗佑は一瞬、凄く嬉しそうな顔を見せた。