ふと、目が覚めると、そこは暗闇だった。
「ここ…どこだろ?」
ぼそっとつぶやくと、
「やっとおきた?」
って優しく笑う真里香がいた。

それは、自分の不幸を恨んで他人を妬む幽霊ではなくて、私のしっている、優しくてしっかりものの真里香だった。

そのとき、
あぁ、私のやったことは無駄じゃなかったんだ。って思ったんだ。


「優里香。
私はもう大丈夫だから。
私は一人でもいけるよ?
その先にあるのが、天国だろうと、地獄だろうとね。
ここは、生と死の間。
私はもぅいい加減、死の世界にいかないと。
優里香、優里香はまだ生きて。」

って笑いかけた。
でも私にはわかったんだ。
それが、真里香のいつもの強がりにすぎないって。
人の事ばっか考えてる、真里香の強がりにすぎないって。

「ううん。
たまには、私だって真里香の役に立たないと。
いつも我慢するのは真里香で。
いつも苦しいのは真里香で。

いつもまっすぐで正しいのは真里香だったから。」

そういって真里香をみると、真里香は私の目をじっとみて、話し出した。


「私は正しくなんてないよ。
自分が死んだってわかったとき、なんで私なの?っておもった。
他にもいっぱい人はいるのに、どうして?って。
お母さんとお父さんが、優里香を生かすことを選んだのをしって、私は愛されてなかったって思った。
いっつも、優里香ばっかりかわいがられるんだって。
同じ人間は2人もいらない。
だったら、私一人でよかった。
そしたら、私は愛されて生きていけたのにって。

でも、それは間違った考えだよね。
こんな考え、優里香にもお父さんにもお母さんにも、失礼だった。
ごめんなさい。

私は間違いばっかの人間だった。


でも、でもね?
最後くらい、正しい人間として、死なせて?
私は1人で大丈夫。
優里香やお母さんお父さんが、こっちにくるまで、気長にまってるから。
3人はゆっくりしてて。ね?」


「っ…
で、でも…っ」
私が言おうとするのを、真里香はとめた。

「しーっ
ほら、聞こえない?
優里香の名前を何度もよんでる人がいるのが。」

それは、晴樹の声だった。
私はその声をきいて、涙が止まらなくなった。

「ごめんね。真里香。
先にいっててくれる?
ちょっと、まっててくれるかな?」
私がそう真里香に微笑むと、真里香も私に微笑んだ。






ーendー