──風が、彼の髪を揺らす。

屋上は夕焼け色に染められて、彼……水樹先輩も、ほんのりとオレンジ色を纏っていた。


錆び付いた緑のフェンスを背にした私と、私を見つめる水樹先輩。

いつもより真剣味を帯びた彼の瞳に、私の胸は高鳴っていて。


『真奈ちゃん』


彼の唇が私の名を紡ぐと、私の心臓が大きく跳ねた。


水樹先輩を好きだと想う気持ちが溢れて止まらない。

目の前にいる彼の存在が愛しくてたまらない。