ダイヤモンドホテル銀座。



天井まで続く窓の向うは幽玄壮美な日本庭園。



私…安達麻友(アダチマユ)と姉の安達知香(アダチトモカ)は見合い相手の相馬蓮人(ソウマレント)さんを待っていた。



「すまない」


蓮人さんは10分遅れの到着。


私と姉の前に座った。



日曜日だと言うのに、紺のストライプ柄のスーツ姿に黒のブリーフケースを持っていた。


「話って何だ?」


「いえ、先日の見合いの件ですけど…」



姉は言い辛そうに言葉尻を濁す。



「何、断るの?」



「私には好きな人が居ます。だから、代わりに妹の麻友ではいけませんか?」