「―――……じゃあ、あたしパトロールしながら帰るね」 さっき来たばかりの望空が、時計を一度見てからソファから立った。 今は、午後7時。 前なら、夜明けまで居たのに。 「気ィつけて帰れよー」 「じゃあな」 「気をつけて」 「早く帰れよ、ブス」 本当はまだ帰らないでほしいのに。居てもいいのに。 それを口に出せない俺らは、冷たく望空に言った。 俺らは不器用で、恥ずかしくて。 自分の気持ちをうまく伝えられないだけ。