「なぁ、本当にアイツ等んとこに行くのかよ」

「……輝一(キイチ)、しつこい」

「彩未(アミ)。そう輝一を邪険に扱ってやるな。輝一は彩未がいなくなるから寂しいんだよ」

「さ!?寂しくなんかねぇよ!!」

「輝一、ウルサイ。気付かれるでしょ」

「うっ……」



顔を真っ赤にさせて喚き散らす輝一をそう一蹴して、再び奴等に目を向ける。






今、私達が立っているのは公園にある小高い丘の上。


木々が生い茂っているその場所は遊歩道から外れた場所にあって、人は滅多に寄り付かない。


まさに盗み見するには持って来いの場所だ。



だけど、いくら人が寄り付かないと言っても広場からは丸見えで。


木々に遮られてはいるけれど、目を凝らせば人が立っている事ぐらいすぐに分かる。


だから、輝一に大声で叫ばれたら厄介なんだ。



まぁ、彼等は今、超忙しいみたいだから私達の存在には気付かないだろうだけど。