「ホントにこんなとこにいるの?」

「らしいぜ?ルチカの情報だから間違いねぇだろ」

「あぁ、ルチカか」



それは間違いないね。








日付が変わろうとしている午後十二時前。

私達は今、繁華街のど真ん中にいた。



大通りから一本外れた裏通り。


そこにある人気(ヒトケ)のないパーキングの端っこで目立たないよう身を潜めている私達は、不審者以外の何者でもないだろう。


振り向けば、談笑しながら行き交う人がチラホラ見え、その背後にはお店の看板やライトが煌々と光り輝いている。


まだまだ大勢の人で賑わっている繁華街は、私達の存在を上手いこと隠してくれていた。


と言っても、私達が“掃除屋Lien”だということは誰も知らないから名乗らない限りはバレないのだけれど。



「じゃあ、彩未と輝一は“綺羅”の方な。俺達は“狂夜”を潰しに行くから」

「了解。……ごめんね。予定変更して」

「何言ってんだよ。彩未の失敗をフォローすんのは当然だろ?」

「失敗言うな」



余計な一言を言い放った輝一の後頭部を一発叩く。



「ッテェ。冗談じゃねぇか」



いや、今の絶対本気で言ってたでしょ。



恨みがましい視線を送ってくる輝一を睨み付け、フンッと顔を背ける。



「彩未、気にするな。お前がそうしたいならそうしたら良い。朱璃のこと放っておけないんだろ?」

「………うん」



聖の言う通り、私は朱璃ちゃんを放っておけなかった。


だって、朱璃ちゃんがBDに関わることになったのは私のせいだから。