「あの…どうかしましたか?」



うずくまる平助を不審に思ったのか少女が声をかける。



「食い意地張って馬鹿やっただけだ。心配いらん。」


「土方さんづめだい~、イテテ…」



「食べ過ぎならば、この薬をお飲みください。消化を助ける薬ですので。」



「あぁ…悪ぃりいな。」



薬と水を受け取り飲み込む。



「水まで持ってるとは準備がいいな。」



「あ、いえ。申し遅れました、私は菖(アヤメ)と申します。薬師(クスシ)を生業にしておりますので、水は常備しております。」



「ほぉ、その年齢で薬師とはな。それに、警戒もなく近付いて、俺達が襲ってきたらどうするつもりだったんだ?」


「薬師といっても流れですので…」



探る様な目付きの土方に、戸惑う菖。


薬師は漢方薬を用いて治療をする医者のこと。


薬師は身分が高く、普通はどこかの屋敷に雇われている。

こんな町中で、しかも無償で薬を渡すなどあり得ない。